死亡後2,3日を超えると、昆虫学的証拠に基づく推定が他の医学的手法より精度が高いという研究があります。ただしそのためには現場での協力が欠かせません。ご協力よろしくお願いいたします。
* 遺体由来の昆虫採集
死後5日以上経過していそうな場合は、遺体周辺も死体由来の虫が居ないか探してください。ウジが成長すると遺体から離れて蛹になります。また大型甲虫は遺体を動かすと逃げてしまいます。半径10m程度内で、遺体のあった場所または周囲の地表面、土中、及び周囲の植物の根元や落ち葉層の中、物陰、袋状のものの中で、写真のようなウジまたは蛹、甲虫を探してください。死後経過時間の推定にとても重要です。
室内の場合は、窓の下に成虫が落ちていないか、物陰、袋状の物の中や部屋の隅にウジや蛹がいないか確認してください。
採集には吸虫ガンが良さそうです
http://www9.plala.or.jp/kstech/productsindex2.html
http://antroom.cart.fc2.com/ca2/864/p1-r-s/
取り出すときは二酸化炭素を吸い取り口から注入すると一時的に動かなくなります。
実験用 ガス 二酸化炭素 5L 気体 CO2 ボンベ 教材 ケニス:https://item.rakuten.co.jp/suzumori/3-126-0492/
成虫は殺虫管にいれて殺しても構いません
殺虫管:スミロンチューブ(スナップ式)に酢酸エチルを少量含ませたティッシュをつめこみます。
スミロンチューブ(スナップ式)
http://kawamo.co.jp/roppon-ashi/sub175.htm
酢酸エチル
http://kawamo.co.jp/roppon-ashi/sub008.htm
飛んでる虫の採集には捕虫網を使います。 携帯コンパクトセット(六本脚)http://kawamo.co.jp/roppon-ashi/sub175.htm
土中の中に潜ったウジや蛹は遺体の下や周囲の土をスコップでとり、フルイ(約5mmメッシュ)にかけて探すと良い。
* 採集した虫の処理
死体についていた場合は採集場所ごとに分けて保存し、ついていた部位を分かるようにする。
死体から離れていたウジも採集場所ごとに分けて保存し、遺体の下なのか、土中、物陰など何処にいたか分かるようにする。
その他は一緒にまとめて構わない。
* 成虫と死んでる幼虫や破片はエタノールの入った瓶に入れて保存。
* 生きてる幼虫は昆虫飼育用ディッシュかチューブに入れる。保湿のためにウェットティッシュ(純粋タイプ)を入れること。
可能なら冷蔵で保存し、冷蔵の期間(開始日時と終了日時)と温度を分かるように記録票に書き込んでください。常温で保管するなら、その間の平均気温が分かると助かります。
昆虫飼育用容器
ディッシュ 310102 200入 (三商)
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ティッシュチューブ 10cm2 フィルターキャップ https://www.bmbio.com/product/tabid73.html?pdid1=91243
さらに気密袋に入れて二酸化炭素を充填してもらえると、休眠状態になりより良いかもしれません(要検証)。
KOURO 自立袋 ジップロック袋 食品収納袋 透明 密閉袋 貯蔵袋 ヒートシール 再封可能 手提げ式 50個 (14x25+6cm)
* 天気、温度
死後経過時間の推定に気象条件は大きく影響します。死後に死体周囲の気象条件をなるべく正確に推定するために、理想は温度データーロガーを遺体のあった場所に数日設置して現場の3~5日間の気温の測定です。
さらに死体の表面温度やウジ群衆の温度を非接触温度計で測定できるとなお良いです。
ちなみに中国の法医昆虫学の指針では次の7種類の温度の測定が推奨されてます。
(1) 地面からの空気温度0.3m、
(2) 地面からの空気温度1.3m、
(3) 表面温度(体からの崩壊液を避けて、温度計プローブは地面に近いところで測定する)、
(4) 体の表面温度(体の皮膚や衣服の表面で測定する)、
(5) 地面に対する体の温度、
(6) ウジ虫の山の温度(体がウジ虫の山を見つけた場合は、温度計プローブをウジ虫の山の中に丁寧に挿入する。
(7) 地面下10cmの土壌温度(体の1~3m以内の土壌温度を測定する。 胴体を取り外す際には、胴体の下の土の温度も測定してください)。
(8) 室内の場合、窓を開ける前に室温を測定し、エアコン、暖房器具などがついていたか、温度設定も調査票に記入すること。
Elitech RC-5 USB温度データーロガー
防水機能あり
非接触温度計
放射温度計(レーザーマーカー付き)
https://direct.sanwa.co.jp/ItemPage/400-TST430
レーザーマーカーでウジ群衆に狙いを定めて測定できる。
* 遺体と環境写真
遺体と、その周囲の環境の写真もあると、現場の状況を把握でき死後経過時間の推定に役立ちます。